SNS向きでない長文転記場所

5年くらい前に他で公開した文章をほとぼりが冷めたころに転載したものです

コンテンツツーリズムに頼らなくてもよい強み

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昨日はなんだか疲れてしまって、午後10時半に就寝。
ぐっすり寝て起きたら、午前3時半でした。
なんか目が冴えてしまったし、今日は晴れの予報だしということで、始発近くの電車で伏見稲荷大社に行ってきました。
むかし、お昼に行ったことがあるのですが、人1に対して鳥居1くらいの混み具合だったのでもうちょっと空いた時間に行きたいと思っていたのです。

ここ数年、いろんなところを歩き回っているおかげで、多少脚力が鍛えられてきたようです。
前回来たときは伏見山を上るのがとてもしんどかったのですが、今日は全くといっていいほど疲れを感じませんでした。
観光パンフレットなどではいわゆる「千本鳥居」の写真が載っていますが、千本鳥居自体は山のふもとに数十メートル伸びているだけであり、伏見稲荷のごくごく一部にすぎません。
山に登るといたるところに「お塚」という石が設置されていて、これを祭った祠に小さな鳥居が奉納されています。
観光地としてだけでなく信仰の場としても機能していて、今日だけでも10人くらいはお塚の前で般若心経を唱えている人を見かけました。

私も全然知らなかったのですが、伏見稲荷大社は外国人にえらく人気があるようで、いたるところに
「Trip Advisorで外国人の選ぶ日本の観光地1位に選ばれました!」
みたいなポスターを見かけました。
これは、スラムダンク聖地巡礼で、中国人とか台湾人が鎌倉高校前の踏み切りに行くようなものか?と思ったのですが、どうやらそんなこともなさそうです。
(参考:  http://j.people.com.cn/94475/8415443.html

直近ではアニメ化された「いなり、こんこん、恋いろは。」をはじめとして、伏見稲荷大社はたびたびアニメや漫画の舞台となっています。
私はアニメとか漫画とかは詳しくないのですが、それでもちょっと考えるだけで「ARIA」地獄少女」「ぬらりひょんの孫」「ガリレイドンナ」「薄桜鬼」くらいが思いつきます。
それなので、不釣合いなアニメ看板が設置されているかと思ってドキがムネムネしていたのですが、予想に反してその手のものは全く見られませんでした。
アニメなんかに頼らずとも、伏見稲荷は十分すぎるほど集客力があるのです!

来週末幕張で「コミケットスペシャル6〜OTAKU SUMMIT 2015〜」なるイベントが開催されるのですが、このなかのブースの一つに「OTAKU JAPAN観光協会」というものがあります。
http://cmksp.jp/cs6/w/otaku-japan/ 

 ここには一応「伏見稲荷参道商店街」も参加しているようですが、それ以上に目を引くのが、市原とか水戸とか襟裳などの、アニメとは何の関係もなさそうな市町村です。
とくに襟裳などは昆布の販促のために「青春☆こんぶ」なる漫画とか「えり萌えGo!」とかいうiPhoneアプリを開発するなど、相当力を入れています。
オタクを呼び寄せようという、必死の努力が垣間見えます。
http://www.seisyun.info/
知名度の高い観光資源を持たない土地は、このようにしてアニメという「劇薬」に頼ってでもなんとかして集客しなければならないのです。
そう、まるで未だに「姫たちの戦国」に頼り続ける滋賀県北部のように…。

持つものと持たざるものの格差を考えさせられる、社会派の小旅行でした。

画像は、山の上のほうに行くとお塚に備えられている鳥居。
どちらかというとこちらのほうが伏見稲荷の本来の光景のように思います。

(2015年3月21日)