SNS向きでない長文転記場所

5年くらい前に他で公開した文章をほとぼりが冷めたころに転載したものです

採石場の島

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姫路沖に浮かぶ家島諸島のひとつ、男鹿島と坊勢島に行ってきました。
男鹿島は「たんがしま」と読み、島に鹿が住んでいることに由来する名前だそうです。
姫路港から一日4往復、高速艇の定期便が出ているのですが、ネットで探してもほとんど情報がない状態…。
釣り客に人気があり、民宿があるのはよくわかったのですが…。
 
男鹿島で船を下りたのは私一人でした。
港(というか桟橋)では、いきなり歯の抜けた愛想の良いおじいさんに、聞き取りづらい言葉で話しかけられます。
「なにしにきた?」
よっぽどの暇人で、定期船から降りてきた人を見つけて話しかけるのが趣味なのかと思ったのですが、どうやら汽船会社の人だったようです。
「今日は現場休みだから、どこでも歩けるよ。」
現場?さすがに採石場の私有地に進入するつもりはないのですが…。
 
てくてく歩き回って、すぐにわかりました。
島には集落がいくつかあるのですが、集落間を結ぶ公道は存在せず、私有地を通らなければ集落にたどりつくことすらできないのです。
よって、すべての自動車にはナンバープレートがありません。
「立ち入り禁止」の看板があるのですが、汽船会社のおじいさんを信じてずんずん進みます。
私もいろんな離島に行きましたが、これほど人に出会わないのは初めてですよ。
公民館のようなものがあったので、無人島ではなさそうですが…。
陸地に目を向けると、長年の採石の結果地形がとんでもないことになっています。
まるでモニュメントバレーのような壮大な景色。
ここ、観光地として売り出したらそれなりに人が来そうですが、本来は採石場だからあまりおおっぴらに宣伝できないのですね…。
私が立ち入っているのも、不法侵入として怒られても文句が言えないのです。
船の時間の都合があって途中で引き返したのですが、一日ちゃんと時間とってまた来ようかなと思いましたよ。
 
そこからさらに船に乗って坊勢島へ。
こちらは漁業以外に産業があるように見えないのですが、町は相当栄えていましたよ。
最近建てたと思われる立派な家や、学童期の子供をたくさんみかけました。
坂と細い道が多いので、島の交通は原付が中心です。
交通取締りが全く成されていないためか、原付の2人乗りはあたりまえ。
お母さんと子供3人の合計4人乗りまで見かけました。
一番後ろの長男?はギリギリ落ちないようにしがみついていました。
こちらもあんまり観光に力入れている感じではありません。
普通の町ですね…。
 
写真は男鹿島にて撮影。
この中途半端な植栽は、男鹿島中でみられます。
(2015年5月17日)