SNS向きでない長文転記場所

5年くらい前に他で公開した文章をほとぼりが冷めたころに転載したものです

帰りたくないけれど現実へ帰らないといけないのもの

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先週天橋立に行ったときにも思ったのですが、日本中どこに行っても「歌碑」なるものが大量にあります。
松尾芭蕉なんかはまさにそうなのですが、かつての日本においては歌枕を訪れることが旅行の大きな目的でした。
過去の歌人や物語中の人物と同じ場所に立つことで、彼らとの一体感を感じようというものです。
まさに今でいう、コンテンツツーリズムですね。
そういえば、同じく先週訪れた舞鶴では、赤れんが倉庫群の一角が「坂の上の雲」とか「男たちの大和」のロケ地だったとかで、登場人物と同じ構図で写真を撮ろうといったようなことがパンフレットに書いてありました。
これも歌枕探訪と全く同じなのだと思います。

最近、ネットをうろうろしていたらこんなものを見つけました。

・全国アニメ聖地サミットin豊郷
全国アニメ聖地サミットin豊郷 (@toyosami) | Twitter

そうです、オタクの「聖地巡礼」もコンテンツツーリズムの一種なのです。
サミットのページの中身見るとけっこうまじめっぽい感じ。
また、「観光の空間」という本を最近買った(まだ読んでない)のですが、家に持って帰って目次を何気なく眺めると、「らき☆すた聖地鷺宮巡礼と情報社会」とかいう文章が掲載されていて驚きました。
http://www.amazon.co.jp/dp/4779503647

これらが示すことは、オタクどもが観光地に落とすお金が無視できない規模に膨れ上がったということです。

聖地巡礼の特徴としては、オタクは貧乏なのでひとりひとりが地元に落とすお金はそんなに多くないのですが、その代わりにイベント時の動員力が半端じゃないというところにあります。
例えば、「花さくいろは」舞台の石川県の湯涌温泉
作中の「ぼんぼり祭り」を実際のイベントとして開催したところ、今年は1万2千人集まったそうです。
湯涌温泉でぼんぼり祭り : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
もともと湯涌温泉って、旅館も10件あるかないかのマイナーなところであることを考えると、ものすごいことです。
また、「ガールズ&パンツァー」の舞台となった大洗は漁業と原子力以外にこれといった産業のない場所だったのですが、いまや年間の観光客数500万人という一大観光スポットになってしまいました。

一方で、いつぞやも書きましたが、こういったオタクコンテンツのもう一つの特徴としては、あからさまに嫌悪感を示す人が非常に多いということもあります。
地元の人たちは、果たしてどういうふうに思っているのか、心配になったりもしますよ。
大学生の頃、同じ学年だった情報系の人とお酒飲んでいたのですが、酔いつぶれた彼が寝言で
「二次元はあかん!」
と叫びだしてめさめさびっくりしたのを思い出します。
彼はもともとアニメとか漫画を好まない人間でしたが、まさかそこまでだとは思っていませんでした。

そういえば、3年ほど前に「Baby Princess 3Dぱらだいす0(ラブ)」というアニメが上映されました。
明日から1週間限定で3Dアニメ『Baby Princess 3Dぱらだいす0』が劇場公開!! - 電撃オンライン
これこそ、世にはびこる「2次元への拒否反応」を克服する切り札だと思ったのですが、残念ながらあまり話題になることもなく消え去ってしまった印象です。
やはり、メガネをかけなければ3D化しないという手間が嫌われたのでしょうか。
とても不思議なことです。
情報通信研究機構の開発しているめがねなし3D映像が実用化されたら、こういった拒否反応もなくなるに違いない!
未来の3D映像 REI 大画面超多視点裸眼立体ディスプレイ


タイトルは、アナウンサーの松澤千晶のことばです。

松澤千晶 on Twitter: "旅行も楽しかったけれどアニメもやっぱり楽しくて、どちらも、帰りたくないけれど現実へ帰らないといけないのが凄く似てる。"
「旅行も楽しかったけれどアニメもやっぱり楽しくて、どちらも、帰りたくないけれど現実へ帰らないといけないのが凄く似てる。」
至言です。

(2014年10月19日)