横文字にすればいいってもんじゃないってことを肝に銘じておいてクダサーイ
世間とも足並みをそろえようというのか、私の勤めている会社では
「ダイバーシティ(多様性)の推進」
というのが流行り言葉になっています。
会社側と労働組合が足並みそろえて、とにかく「ダイバーシティ」なのですが、同じ言葉使っているのによくよく聞くと両者で定義が異なっているようです。
会社側が言う「ダイバーシティ」というのは、
「多様な出自、能力を持った人が、同じように全力で働く」
ことです。
このため、外国人や女性、または中途入社の採用活動が盛んです。
しかし、いわゆる「働き方の多様性」については、ほとんど省みられていません。
会社としては、とにかく社員に死ぬほど働いて欲しいのだから、当然といえば当然でしょう。
一方で労働組合の言う「ダイバーシティ」というのは、
「同じような意見を持った人が、多様な働き方を選択する」
ことです。
組合が発行する新聞でも、短時間勤務、産休、育休、介護休暇などが成果として華々しく宣伝されています。
ただし、そもそも労働組合というものは、支持してくれる社員の数こそがその権力の正当性の源となります。
よって、社員がいろんな意見を持っていて労働組合に権限を委譲しない、という事態はなんとしても阻止しなければなりません。
よって、ムラ的、独裁国家的な閉鎖主義が蔓延しており、多様な出自を受け入れる体質とはとてもいえません。
各々が「ダイバーシティ」を唱えていても、定義がこれだけ違っていたら話がかみ合うわけがありません。
世間一般に言われている「ダイバーシティ」というのは、
「多様な出自、能力を持った人が、多様な働き方を選択する」
ことなのでしょうが…。
もう一つ似たような例で思い出すのが、最近異動した先の部署の若手が担当させられている「文書整備」です。
彼は新入社員の頃に、まずは仕事を覚える導入として部署間で使用する依頼書とか手順書などの簡単なフォーマットを作成する仕事を担当していました。
これを「文書整備」と称しています。
その後、彼は「文書整備」の経験が豊富だということで、研究から工場での生産に移行するにあたって必要な決まりごとについて、いちから作り上げる仕事が割り当てられています。
えらい方々は揃いも揃って
「おまえは『文書整備』やってきたのだからできるだろ」
といって丸投げしているのですが、当人は手の付け所がわからずに頭を抱えています。
これは当たり前の話です。
どちらも「文書整備」には間違いないのですが
- エクセルで書類のフォーマットを作る仕事
- 社内の規定の体系化を行い、どんな文書が必要かを割り出す仕事
は全然別物です。
いうまでもなく、後者のほうが難度はずっと高いです。
このような状態にもかかわらず、今の部署のえらい人々は具体的な指示を下さないために、当人は戸惑っているようです。
私が社会人となって以来、この手の定義のゆらぎが原因となった非本質的な混乱はいやというほど見てきました。
「ダイバーシティ」の話は、おそらくは会社側と組合側は半ば意識的に共犯関係を結んでいるのでしょうが、「文書整備」の話はえらい人々が定義の混乱に全く気づいていなさそうなのが本当に情けないですよ。
若き日のルートヴィヒさんが夢見たような要素命題の真理関数の集合体としての人工言語がいいとは言いませんが…。
画像は、ダイバーシティからの完全なる逆行です。
人の顔見ただけで「外国の方だ」というのもひどい話ですが。
(2015年03月15日)