SNS向きでない長文転記場所

5年くらい前に他で公開した文章をほとぼりが冷めたころに転載したものです

「シルバー」から「アルジャン」への言い換え

f:id:odyssey_in_the_sky_with_DEMPA:20200419204532j:plain

兵庫県朝来市にある生野銀山に行ってきました。

http://www.ikuno-ginzan.co.jp/

たしか、中学校のころに遠足で来たことがあったはずですが、もう完全に忘却のかなた。
しかし、敷地の入り口に明延鉱山で使用されていた「一円電車」なるトロッコが展示されているのを見て、急速に記憶がよみがえりました。
ああ、こういうところだった…。

約1km程度の坑道内を見学できるのですが、徳川時代からの銀鉱山ということで、ところどころに当時の様子を再現した人形が配置されています。
ただ、その人形としてむかしよく見た西洋人の顔立ちのマネキンを使っているものだから、ちょんまげの西洋人が和服を着て労働者を見張るという妙な状態。
そこそこ楽しめましたが、わざわざ遠くから来るほどのものでもないかな…。
採掘に使われた工法や装置の展示もしてあるのですが、理系にありがちな「専門家以外にはよくわからん」説明でした。
そもそも、装置の呼び名としてメーカー名を先頭につけるという工場的感覚を、そのまま疑いなく使用して展示することからして無理がありますよ。
(「古河ロックドリル」とか「足尾立坑掘削機」とか…。)
そもそも銘盤を見て「古河」「足尾」がメーカー名だとわかる人自体が少数派だと思います。

鉱山から市街地までは3kmほど離れているのですが、その間を結ぶバスはとても本数が少ないです。
そのため、帰りは徒歩だったのですが、途中で三菱マテリアルのそこそこ大きな工場の前を通りました。
生野銀山ももともとは三菱のもちもので、生野の街自体が三菱の企業城下町だったのです。
しかし、三菱マテリアルのシリコンウェハ部門から分離したSUMCOの工場が、事業集約により閉鎖されてしまったのは悲しい雰囲気です。
生野は観光案内によると市街地も色々と見るべきものがあるとのことですが、実際いってみると古い家が何軒かあるのみ…。
唯一「志村喬記念館」は面白かったですが、銀山に興味ある人と志村喬に興味がある人はあんまり重ならないようにも思います。
鉱業自体が日本では衰退産業なので、生野も往時の活気がない様子でした。

銀山の町なので、かつては「シルバー○○」という施設や店が多かったようですが、老人を連想させるせいか今ではフランス語使って「○○ダルジャン」とかいう名前に変わっています。
(「ルートジャルダン」とか「カフェダルジャン」とか。)
ただ、「argent」って「金銭」の意味もあるので、ちょっとなんか生々しい感じもしますよ。

写真は銀山坑内の不動滝そばで勇ましく掘削していたであろう、古河レッグドリル(横向き穿孔用)の勇姿。

(2014年11月16日)