エンジン的な物がかかってきた
相変わらず萌え漫画を読む日々。
このコマみると、日本語における「エンジン」の取り扱いが凝縮されている用に思いました。
クリスマスパーティーにケーキをたらふく食べるシーンです。
- 「エンジン的な物」
「エンジン」ではありません。
「エンジン的な物」です。
体内に存在するエンジンのようでいてエンジンでない何かです。
うまい言い回しだと思います。 - 「かかってきた」
論理的にはエンジンは「かかる」「かからない」の2択でしかありません。
しかし、この場合は「かかってきた」というのが最もふさわしいように思います。
本物のエンジンは「かかる」「かからない」しか状態が存在しないのですが、エンジンを比喩として用いた場合は「かかってきた」という言い回しが許されるように思います。
比喩の対象が、比喩のもとを越えた広い意味範囲を獲得しているのです。
「藍より青し」といってもいい状態です。
花菱薫と桜庭葵です。 - 「エンジン」が「かかる」
そもそも、なぜ「エンジン」は「かかる」ものなのでしょうか?
手元に広辞苑があるので「かかる」から抜粋しますと、- ある物、ある場所などに事物の一部が支えられてとまる
- 事物が曲がった物・とがった物・張った物・仕組んだ物などにひっかかってとらえられる
- 事物がある1ヵ所を起点として他にひろがる。おおいかぶさる。
- 事物が、ある所から他へわたされる
4-6. ある作用が及ぶ。働き・力が増し加わる。
「電話がー・る」 - 物事が関係してくる。
- 物事に手をつける。とりかかる。
6-3. 道具や機械などが、その機能を発揮する。
「エンジンが―・る」 - (他の動詞の連用形に付いて)ある状況に移り及ぶ意を表す。
とあります。
機械類で「かかる」ものって「電話」と「エンジン」以外思いつかないのですが、この二つは意味が別々に分類されています。
そもそも、6-3の例文はエンジン以外記載されていません。
このようなイディオム(といっていいと思います)を使い始めた先人は、エンジンが起動する際の感覚を、何かに引っかかって吊り上げられるようなものと考えたのでしょうか?
結論:萌え漫画は頭の体操になる。
(2013年8月25日)